殺されるかと思いました。震えが止まらず、歯がガチガチと音を立て、泣きわめこうが叫ぼうが
引っ越しのときには少しでも荷物を減らしたいと思っていますから、持ってきた旅行用のバッグとあと1つか2つのダンボールくらい・・・それでも多いのかな、と感じています。限界まで荷物を減らして身軽な状態で移動します。
荷物の整理をしていると1着の上着に目がとまりました。気に入っていて、もう何年も大切に着ている上着なのですが・・・一度はこの服を処分しようと考えたこともあります。なぜなら、見るたびにあの時の記憶が蘇ってきてしまうから。
比較的新しい出来事です。5年・・・くらい前だったと記憶しています。
その日は主人と2人で義両親とむつみの住む実家へお邪魔していました。季節は丁度今くらいの時期。まだまだ寒くて、御台所を借りて私が豚汁を作ったのを覚えています。
ちょっとしたお祝いの席だったので、お寿司を宅配してもらい(なぜか一番貧乏な私がそういう時にはいつも自分のお金でお会計をします)、お話をしていました。
ちなみに、私は5人前の大皿のお寿司を注文しても、手をつけることは許されません。嫁なんだから最後にあまったものを食べればいいと義理の母に言われ、結局むつみが1つも残らず食べてしまうというのがいつもの流れです。
悔しくてたまにスーパーでパック詰めされたお寿司を買ってきて一人の時間に食べる・・・というのが私のここ20年ほどのお寿司の思い出です。
話が逸れましたが・・・その席で主人がうっかりお茶をこぼしました。熱いお茶が足にかかってしまったのであわてて近くにあったふきんで拭いたのですが、その様子を見ていた義理の母が激昂しました。
すぐにハンカチやタオルを用意して差し出せ!台をふくふきんで亭主をふくんじゃない!お前のような気のきかない役立たずな嫁はこの場に相応しくない!
そう言って、私の髪の毛をつかむとぐいぐいと引っぱりました。まったく手加減がないので涙が出るほどの激痛で、必死に謝りましたがその手が緩むことはありません。
そしてそのまま、庭にある物置の中に放りこまれ、鍵をかけられました。お前のよう役立たずな嫁はそこで少し頭を冷やせ。と言い放たれ、寒空の中そこに放置されました。
恐怖と寒さで震えてしまい、指や足先がかじかんで痛みを通り越して感覚がなくなりました。何度泣きさけびながら謝っても、助けをよんでも誰も来てくれず。もう私はここで死んでしまうかも知れないと本気でそう感じました。歯がガチガチ音をたてるくらい体が震えて、何も考えられないくらいの状態になったのです・・・
どのくらいの時間が経ったでしょうか、数時間だと思いますが、私にはとんでもなく長い時間に感じられました。そのとき、物置の扉があいてむつみが立っていました。私は必死で許しを請うために声を出そうとしたのですが、恐怖心と寒さでほとんど声も出なくなっていて・・・ああ、ああ、と呻くのがやっとでした。
そのときにむつみが私に言った言葉が
こんなところで死なれたら迷惑だから。
この言葉だけを言い放ち、上着だけを投げ込まれました。上着ひとつ身にまとったところで体が温まるはずもなく。結局そこからさらに数時間私は物置の中で放置されました。
最初に書いた上着が、その時の上着なのです。思い出もあり大切なものでお気に入りだったのですが、一時は本当にこの服を見ただけで気分が悪くなって酷いストレスを感じるほどだったので本気で処分を考えました。でも結局捨てられませんでした。
今では気持ちも大分落ち着きましたが、でもそれでもまだこの上着に袖を通すことはできていません。
昔話を書いてしまいました。
今まで誰にも吐きだせなかったこと、心の中にしまわれていた内容のひとつなので、ここでこうして外に出すことができて良かったです。
読んでいただいてありがとうございました。こうして少しづつ自分の心を浄化していけたら嬉しいです。