自殺未遂
古い1枚の写真を見ながら、以前ここに少しだけ書いたことのある友人のことを思い出していました。我が家のすぐ近くに住んでいて、心を許して本音で会話のできる数少ない存在でした。とても優しい人で、笑顔が素敵な彼女には何度も精神的な危機を救ってもらいました。
夫婦関係も良好そうでしたし、私からしたら理想的な生活をおくっていた彼女の年齢は私よりも少し年上。休みの日にはお互いの家で食事をするくらい、本当に仲良くさせていただいていた、かけがえのない友人でした。
そんな彼女といつもの通り朝のゴミ捨てのときに顔を合わせて、少しだけ会話をしたのですが、なんとなくいつもに比べて元気がない?と感じました。でも本当にちょっとした違和感だったので、本人に何かを確認するわけでもなく、立ち話を終えてそのままお互いの家へ帰宅しました。
その日の夜、彼女は自宅で手首を切って自殺未遂をしました。
発見が早かったので一命をとりとめたのですが、そのまま引っ越しをしてしまい、間も無く離婚をしたという話を人づてに聞きました。
聞いた話では、子供が出来ないことに相当なプレッシャーを感じていて、あらゆることを試したけど、どうしても妊娠できなかった、それを姑からいびられて、ご主人からもお前の体に原因があるから子孫を残せないと毎日のように言われ、自殺未遂の直前には年内に子供ができなければ離婚をして別の女性と子供をつくるからお前には出ていってもらうと言われていたそうです。
カウンセリングに通って精神状態をどうにか保っていたようですが、私にはそんな素振りを一切見せず、早く自分も子供が欲しい。かわいい自分の赤ちゃんを抱いてみたいという会話くらいはしたことがありましたが、そんなに深刻に悩んでいたとは全く気が付きませんでした。
ご主人もとても気さくで奥様思いの良い人だったので、そんな風にデリカシーのない発言をする人だと知って驚きました。
引っ越し先や連絡先も分からなくなってしまったので、その友人とはもう連絡を取れなくなってしまいましたが、今でもふと思い出してその後のことが心配になります。自殺未遂をするほど追い込まれていたら、その後引っ越しをして離婚をして、1人で生活をしていくことができるのか・・・そう何度も考えていました。
音信不通になってしまった後に、あの時ちょっとした彼女の変化に気付いていたのなら、きちんと向き合って話を聞いてあげればよかったと後悔しました。後悔をしても遅すぎたのですが・・・
うちの主人は彼女の話を聞いて、子供が出来ないくらいで自殺しようとするなんてただのバカだと彼女のことをバカにしていました。そんな言い方はひどい、子供が出来ない人の周囲からの重圧やプレッシャーは本当に大きなストレスになるんだから、と当時の私は主人の意見に反論したのですが、生意気な態度をとるなと頰を叩かれたのを覚えています。
男の人なんて、女の気持ちをわかってくれない生き物なんだと、その時の私は男性に対してかなり悲観的な感情を抱いていました・・・
古い友人のことを思い出して少し切ない気持ちになりました。どこかの地で今は幸せな生活を手に入れることができていると良いのですが・・・
私も追い込まれ、何度も自分の人生を終わらせてしまおうと考えたことがあります。でもそこでそうしなかったから今があり、素晴らしい子供達や孫達の笑顔を見ることが出来ています。
この先辛いことがあっても決して負けません。そして私は必ず幸せな、新しい人生を手に入れます。ゆっくり休んでいることで心に気力が戻ってきているのを感じます・・・人はその気になれば何をしても生きていけますよね!もう自分のこの先の人生、今すべきことから目をそらすのはやめます。