何気なく部屋の隅に立てかけてあった釣り竿を見ていたら、まだ幼い息子が主人に足を切られたことを思いだしてしまいました。
夕飯の支度を済ませて、帰宅した娘と一緒に食事の準備をしていたら、ふと部屋の隅に立てかけてあった娘のお婿さんの釣り竿が目に入りました。
彼も釣りが好きなようで、休日はひとりで色々なところへ釣りをしに出かけることもあるそうです。ときには娘と孫もついていって、釣りたての魚を食べるようなのですが・・・
私は正直、釣り竿に良い思い出がありません。お婿さんの物を見てどうこうという話ではないのですが、主人が大切にしている釣り竿をどうしても思い出してしまうので、釣り自体に良い思い出が無いのです。単なる個人的な偏見ですね。
息子がまだ幼く、はいはいで移動するくらいの頃でした。
今では自室に必ず大切そうにしまってある釣り竿が、その時はリビングに無造作に立てかけてありました。
当然子供は何もわかりませんから、近付いて行って倒したり、それをおもちゃにしたりすることがありますよね。そうされたくなければ自分できちんと管理をするべきで。
私は彼の私物に触ると子供であろうと嫌がることを知っていましたから、なるべく近づけないよう、注意していました。
子供がいるから片付けて欲しいとお願いをしましたが、次の日に釣りに行くからメンテナンスが必要だのなんだのと、一向に片付けず。しかしメンテナンスは後回しでビールを飲みながらテレビを観ていたのです。
その時に事件は起きました。
案の定、息子が近付いていって、主人の釣り竿を倒してしまいました。
詳しくは分からないのですが、精密な機械でもないですからただ倒したくらいでは壊れたり折れたりしませんよね?大きな魚を釣り上げられるくらいのものだと思うので・・・それなのに、主人は激昂して、拾い上げた釣り竿を振りかざすと、息子に振り下ろそうとしました。
とっさに私が覆いかぶさり庇ったのですが、私の背中を叩かれた拍子に少し外に出ていた息子のふくらはぎを釣り竿の先がかすめ、切れて出血してしまったのです。
息子は当然大泣き、私は自分の痛みなど感じないほどに焦り、すぐに止血と手当をしました。人を殴るくらいの釣り竿なら倒れたってなんともないに決まってるのに。
自分のことならいいですが、子供のことになると私も黙ってはいられないので、怒って文句を言いました。そのときは私に手をあげることも多い時期だったので、平手打ちをされたり、髪の毛をひっぱられたりして・・・
娘にもたくさん怖い体験をさせてしまいました。その光景を見ていて、すべてを覚えているわけではないでしょうけれど、娘はでも主人のことを憎み、そして怖がっています。何をするか分からない異常者だと。
20年を超える年月はとても長く、私にたくさんの「負の思い出」を染みつけました。簡単には忘れることのできない思い出・・・今回の釣り竿のように、前にも書いた赤いベルトのように、何かの拍子に思いだされてしまうのです。
今後の幸せな毎日が少しづつ私の頭の中の苦しい出来事を、嫌な思い出を、浄化していってくれることを願っています。
ほんの数日なのに、あの家を離れたことでかなり体調も良く、頭もすっきりしています。パート先でも顔色がいいと言われたくらいです。
離婚、遠くへの引っ越し、その後のこと・・・先のことを考えると心配で憂鬱になることもありますけれど、今までのストレスや精神的、身体的な負担に比べたらきっと随分楽なはず。
この機会、やっと掴みかけたこのチャンスを逃したくはありません。